Akai AX60,CASIO CZ-101/CZ-1000,KAWAI K3M,YAMAHA DX7に使われるHM6117/HM6118系SRAMのバッテリーレス化基板の設計

HM6117とはどんなIC?なぜこれが必要か。

HM6117はメインメモリーとしてシンセサイザーにMIDIインターフェースや音色メモリーを使う為に欠かせないICです。
シンセのバッテリーが無くなると内容が消えるのもこのHM6117への電源供給の問題です。
当時の値段はこれ一つで1600~2400円近くしたと記憶しています。へたするとCPUより高額です。
ROMも高かったですよ。
2048bitを8本セットで読み書き出来16KBのS-RAM、3V流していれば内容は消えない特徴があります。
ここをF-RAMにリプレースし、バッテリーレス化すれば100年は使えます。
ただ変えただけでデータが消えることは無くなりますが、ボタン電池の電圧を検知して表示する仕組みがある場合、常に3.3V流れるように誤魔化す改造が必要です。ここはどの機種がこれという情報をサービスマニュアルから収集していけばよいと思います。
「Low Battery」と表示されて次に進めないSystemだったら困りますからね。

バッテリー替えればいいじゃないですか?

はい、バッテリー交換は±の2本だけの話ですので難易度は低いです。(とはいえ一般的には工具が無いと難しい)
この改造は24本も処理しなくてはいけないので、ある程度の経験が無いと出来ません。
その経験者からこの基板を観て、「ははは、誰かがやるとは思ってたが、良くできてるな、うんうん」と云わせる製品です。
 

HM6116とどこが違うの?


ピン番号20が違う。OEがCE/CSに代わり、OEはWEの反転で作らなければならない。
6117と6118の違いについては、両方同じロジックで読み書き出来る。厳密には違うものだが、設計すると同じ回路となる。


早速KiCAD6で設計しました。

 
両面の表面実装なので自分で半田付けする覚悟が要ります。


 
6116系回路との差分。6117系はCE2本でOEが無い。


  • 6117系6118系(他メーカーは型番が違う)のICを抜き、交換するだけ。
  • 4バンク切替えSwitchも付けられる。切替えに興味が無いならA11,A12をGNDに繋げればよい。このDIP-SWはCoded Switchと呼ばれるもので、回すと2進数の接続が行われます。秋月電子で売っています。

NAND回路は「入力が全て1の時0、それ以外は1」ですので、U3B,Dで動作中なら1を作りU3Cで条件が揃い0となる回路です。U3AはOE信号を作る為のNOT回路です。

6117は6116と比べてマイナーなSRAMです。だからといって改造をあきらめる事が良い選択とは思えない。ロジックIC1つで6116と回路が同じになるのですから。

ガーバーデーターとドリルデーターを出力して発注します。 

 

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バックアップメモリーについての情報をGoogleスプレッドシートで一般公開しておきます。
 
気が向いたら更新していきます。

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