Akai VX-600,CASIO CZ-1,Korg POLY-800II,YAMAHA FB-01に使われるHM6264系SRAMのバッテリーレス化基板の設計

HM6264とはどんなIC?なぜこれが必要か。

HM6264はメインメモリーとしてシンセサイザーにMIDIインターフェースや音色メモリーを使う為に欠かせないICです。
シンセのバッテリーが無くなると内容が消えるのもこのHM6264への電源供給の問題です。
当時の値段はこれ一つで1600~2400円近くしたと記憶しています。へたするとCPUより高額です。
ROMも高かったですよ。
8192bitを8本セットで読み書き出来64KBのS-RAM、3V流していれば内容は消えない特徴があります。
ここをF-RAMにリプレースし、バッテリーレス化すれば100年は使えます。
ただ変えただけでデータが消えることは無くなりますが、ボタン電池の電圧を検知して表示する仕組みがある場合、常に3.3V流れるように誤魔化す改造が必要です。ここはどの機種がこれという情報をサービスマニュアルから収集していけばよいと思います。
「Low Battery」と表示されて次に進めないSystemだったら困りますからね。

バッテリー替えればいいじゃないですか?

はい、バッテリー交換は±の2本だけの話ですので難易度は低いです。(とはいえ一般的には工具が無いと難しい)
この改造は28本も処理しなくてはいけないので、ある程度の経験が無いと出来ません。
その経験者からこの基板を観て、「ははは、誰かがやるとは思ってたが、良くできてるな、うんうん」と云わせる製品です。
 
使えない機種はどんな機種。

例えばAkai MPC60はCXK5816PN-15L。つまりは容量が1/4倍の16KBですので使えません。別の基板が必要です。
既に設計済です。
そして更に年代が進むと256KBや1MB、4MBと時代が流れていきます。でも256MBで充分です。ハードウェアサンプラーのメモリーは別CPUで動いていて、メインのCPUはそこまでの容量が上がりませんでした。
ちなみにAkaiのサンプラーはこの後SRAMを使わずDRAMへ方針を変えています。

早速KiCAD6で設計しました。

 
両面の表面実装なので自分で半田付けする覚悟が要ります。



6264系はCE2本。NAND回路はNOT回路にも使えて超便利。


 
  • 6264系(他メーカーは型番が違う)のICを抜き、交換するだけ。

NAND回路は「入力が全て1の時0、それ以外は1」ですので、U3Aで動作中なら1を作りU3BでCE2が動作中なら条件が揃い0となる回路です。私が盛岡市立上田中学生の電気クラブで、加藤先輩(就職後、富士通の厚木研究所で再開する事になります)と及川先輩に教わりました、ありがとうございます。こうやって役に立っていますよ。 

Roland S-10はロードしたデータはDRAM側に入るのでSRAM部分を改造するだけではなく、DRAMもFRAM化してしまったほうがいいのですがDRAMというのは構造上アドレス線が倍必要なので使用するFRAMが大容量化し、信号の電圧変換が必要になり難易度がさらに上がります。
技術的にはsector101.co.ukがやってる技術です。私が今やるべき事ではないです。
という理由でS-10はバッテリーレス改造はしない方がいいです。
 
使い所はハードシーケンサーやアナログシンセが良いと思います。
このバッテリーレス化するシリーズは必要になった時点で発生しますから今後もご期待ください。

ガーバーデーターとドリルデーターを出力して発注します。 
 

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気が向いたら更新していきます。

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