EurorackにはPolyphonic向けのBUS規格が無い。そこでLink32の提案。(構想編)

Low Cost なPolyphonic Synthesizer を効率よくパッチ出来る規格。Link32とは?

Eurorack規格のシンセサイザーを楽しむのはいいけど音色を最初からビルドするのは大変時間がかかります。
EMSみたいな一か所に集中してマトリックスパッチ出来るものも存在しますし、バスを作り長距離延長するLink8,Link10のようなものも提案してきました。 今回はLinkシリーズの短距離で効率よく8音ポリフォニックをビルドできるLink32規格を発表します。
 

古代のバスを知る

 
 
個々のモジュールに必要な情報を届ける。これがバス。出来れば高速と低速を混ぜ無い方が良い。
 
こういったバスは開発者の理想と利害関係が絡み消えていきました。
ではLink32の説明に進みます。

Linkシリーズの最新版はここが違う。

 
今まで通りの通信ケーブルの模索ではありません。
端点を延ばす目的ではなくEurorackの裏側に新たなBUSを敷く事が目的です。
 
Link32の使用するハードウェアはIDEケーブルです。
 
 

IDEケーブル(40P)
IDEケーブルは基本的に逆差し防止としてノッチと20Pinが埋められています。古い40線タイプと80線タイプがあり、80線タイプは2ピンをGroundとして偶数線がすべて接続されています。つまりシールド線のような構造です。
1,2,39,40ピン(両端)をGroundとして使えば他は自由にレイアウトできるのです。
ちょっとまって、40-4=36です。
安心してください。ノッチ部分の19,20,21,22もGroundにすれば整理されます。これなら強引に逆差ししてもモジュールが壊れる事はありません。(それでも逆差ししてしまう例を実際に観た事があるので怖いです)
欲を言うと3ピンをBUS1としたら38ピンをBUS2とするのが理想ですが、基板設計が悲鳴を上げるので諦めます。
 

Link32の設計思想。

 
今までのLinkシリーズのような単純なパッチベイには結構欠点もあるのです。
まず入力について、CVとGATEを入力すると使える電圧は幾つでしょう?わからない?期待通りの誤動作が発生することは確かですし、理解せずに使うとモジュールが壊れる事もあります。(答えはおそらく0~2VでCV出力ICにダメージがあるかもしれません)
次に出力について、2か所以上から電圧を取り出そうとすると使うモジュールそれぞれの消費電力(専門的にはインピーダンス)が違う為、電力不足や電圧の変動が起きます。
つまり1:1接続用途には非常に便利ですがそれ以外は苦手なのです。 

それを補うためには入力と出力を明確に分けバッファーアンプを中に入れて電圧・電流を保証する事です。
例を挙げると8chミキサー8バス(アクティブ)かパッチベイ(パッシブ)かの違いです。ポリフォニック用途であれば主たるCVとGATEの16chはパッチベイで良いのですがベンダーやLFOやEGの信号は何かしら演算したい信号であり電圧ミキサーが欲しいのです。
複雑な回路ではありません。
 
この回路です。MIX専用でパネルを作り、後はバスラインとなり、出力部分も専用パネルを作ります。
入力はA-138a,bのようなものですが8ch,16ch分になります。出力は無くLink32のバスに繋がります。
出力はA-138oVのようなものですが8cn,16ch分になります。入力は無く Link32のバスに繋がります。

電圧ミキサーがあるからといってオーディオ関係をこのLink32で使わないでください。え?なぜ?ミキサーあるんでしょ?周波数が高くなったり、それがマルチチャンネルだったりすると技術的に厄介な問題が発生します。扱う電圧が違いすぎます。
Doepferと同じく、オーディオ用のミキサーが用意されている理由と同じです。
オーディオのミキサーとは違うので確実に音が悪くなります。そこを理解しましょう。
 

Link32はEurorackの裏に付けるバス。ではフロントにはどんなパネルが必要か?

 
このバスの先に使うべくパネルは大きく3つの種類を考えました。

  • Link32 "Group 0 Passive(アンバッファード)" 16Patchbay
  • Link32 "Group 1 In(バッファード)" 16In, 2In1Mixer x16, 16InOutMatrixSwitcher
  • Link32 "Group 2 Out(バッファード)" 16Out,16Out with Shift
Group0はほぼCV,Gate専用・・・・です。
利用例としては仮に1200mmのEurorackケースの左端からPassive、400mmにIn,Passive,800mmにOut,Passiveと設置しておけばPolyphonicシンセを快適にパッチ可能となります。
まって、PWMやLFOを8ch個々に掛けたいんだ、そういう方は左端にOutのパネルを1つ追加してください。
パネルから整列してワイヤーが並ぶのがイメージできましたか。
 

非公式な1Uサイズのパネルは必要か?

 
実に悩ましい問題です。
Eurorack Monsterは1Uを使うのか?
答えはNoですが普通の方は便利なので1Uも使うのです。 
志が似ている事もあり無視できません。


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