順方向電圧と理想ダイオードの話。応用編

ダイオードの全波整流回路もやはり低電圧に弱い。

ダイオードの花形は全波整流や倍電圧整流だと思います。
やはり全波整流(ブリッジ整流)は形として目を引きます。
前回も書きましたがダイオードには順方向電圧というダイオードの動きの原点となる電圧があります。
シミュレーションで入力AC1Vで見てみましょう。
 

 
低い電圧では調子よく動いてませんね。三角波でもなくPWM25%みたい。
これがサウンド関係のエフェクターだったらどうでしょう?
小さい音が矩形波っぽくなって、ビットクラッシャーのようなジリジリ音になります。
解決策としては、ダイオードに正確に働いてもらうには順方向電圧より上の電圧までバイアスをかけて入力の基準点を引き上げればより正しい波形が得られます。

オペアンプで作る理想ダイオードによる全波整流回路とは?

ダイオードのブリッジ回路は2つの入力の電位をダイオードでそれぞれ2分して正負の入力を正正となるように再合成されています。
シミュレーションで見てみましょう
 
2つのダイオードを反転すると出力も変わる。


2つの負帰還アンプです。
右のオペアンプの1kは左の1kがあるので反転出力です。
左のオペアンプの負帰還に抵抗での魔法とダイオードが使われています。
左のオペアンプはプラスの時マイナス。マイナスの時マイナスを出力します。
凄いのはこのダイオードの順方向電圧は気にしなくてよいのです。LEDでも良いのです。
入力を0.01VACにしてももまともに動きます。
この2つのダイオードの極性反転するとマイナス側の全波整流の出力が得られます。
ちょっともやもやしますが左のオペアンプでマイナスの時には+を、+の時は+を出力します。右のオペアンプで反転します。
  

この回路の制限事項

実際のダイオードは逆接続できるがオペアンプだと逆接続出来ない。2つのダイオードの極性を反転すると逆接続と等価になります。
500Ωが世の中に無く、1kΩの並列接続で作ります。
両電源を与えないと動かない。
 

何に使う?

音として使うには問題はあるので音量の検出ですね。特に低電圧まできっちり値が出ます。
私なら
  • 絶対値モジュール。ブックラーの回路図は観ていませんがほぼ同じでしょう。
  • 音量の高速検出。コンプ、リミッター、ノイズゲート、AGC。 
有名な割には意外と利用範囲が狭いですね。


EasyEDAで実際に設計してみる

ぉ、何やら工夫されてますね。



500Ωが無いので合成抵抗を使用。
SJ1SJ2はソルダージャンパーと言って半田を盛る事によってジャンパーする基板のパターンです。こうするとお金がかかりません。
高速ダイオードが3つ入ったパーツを使います。
下がコネクター。
周波数で位相ズレが酷くならないよう位相保証回路の付いたオペアンプを使いました。 
DIP8ではなくてSIP9(SIL9)のほうが使い勝手がいいかもしれません。

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