入手が難しいデバイスをネタになるかと隣国から輸入した。第一回

正規代理店から買えと言いながら、なんでも正規代理店から買えるわけではありません。

改造はしたいけど廃番のデバイスを入手するには隣国から輸入も視野に入れます。

勿論本物か見極めなければ使えません。

今回は2種類確認していきます。

まずはオペアンプ。SIP8のNJM2068LDです。

  1. イマジナリーショート(入力2つを繋げる)で1000倍増幅してノイズを計測します。DIP8のNJM2068Dと比較出来るので簡単です。
  2. ストレージオシロでパルスの立上りのスピードを観て仕様通りかどうか。
  3. ピンの抵抗値を計る。
  4. ロットのばらつきはあまり信用できません。
  5. ピン形状や削られた分の薄さの計測。
  6. 印字フォントがオリジナルと違う。

実はこの程度なんです。削ってICの中身(ダイ)を確認される方もいますが全部開けるわけにはいきません。

ロットのばらつき確認中。袋で送られてきたので足が曲がってもご愛敬です。

ロットはばらつきがありますね。オリジナルと薄さも同じでした。

だめだ、低雑音の性能が良すぎる。面白くないな。本物のようです。残念(ぉぃぉぃ)

次に2SK30A-GRを観てみましょう。

  1. トランジスターテスターで簡易計測します。
  2. 一応印刷も疑う要素ですが東芝オリジナルではないので1回での印刷はあやしいという程度です。
  3. 性能のばらつき具合も、同ロットでバラツキの激しい物もあるので許容範囲内であるかが問題です。

まずオリジナルから測ってみましょう。

秋月電子で買った2SK30A-GRのSMD版の2SK208-GRです。10個250円ですが変換基板と合わせて使います。

表面実装のはんだ付けのテクニックは固定する事と、固定できなければ1ピンだけですべてが決まるのでよく見て素早く微調整する事です。それにはペーストと適切な量のはんだと尖った小手先が必要。

 

値段の高い工具はそれなりの能力を持っている

パッケージから取り出すのが大変なだけで変換基板への半田付けは数秒で終わります。

私の半田コテは1980年代のホーザン製を頂いた物ですがプロ用なので下手な人でも綺麗に半田付け出来る気がします。

一時間以上部屋の空気にあてて電池やデバイスの温度を安定させます。

息を吹きかけたり触ったりしたら値が変わる世界ですのでマスクもします。

 

このような値です。 1.5mAと1.0Vね。OK。

この表示は、そのままJFETの代表的な特性であるIDSSVGS(off point)ではありません。

  1. IDSS (Zero Gate Voltage Drain Current): VGS = 0V のときに流れるドレイン電流。これはJFETが完全に「オン」になっている状態での最大電流です。
  2. VGS(off) (Gate-Source Cutoff Voltage): ドレイン電流がほぼゼロになるゲート-ソース間電圧。これはJFETが完全に「オフ」になる電圧です。NチャネルJFETの場合、通常負の値になります。

「Id=1.5mA @Vg=1.0V」の解釈。IDSSは1.5mAよりも大きいVGSは-1.0Vよりもさらに負の値(例:-1.5V, -2Vなど)になるでしょう。なんでIDSS計ってくれないかというと、IDSSは電流を流し発熱を伴う測定になるのでテスターごときでは採用されません。なので流れ始めのIDとVGを測定してるんです。つまりデータシートのほんの一部分だけ測定しています。それでも特徴が明確にわかります。

話は戻ってこの値は2SK30A-GR特有な値で、偽物だと乖離が大きいです。 

輸入したものを計ってみましょう。

Made In Thailand ?

 

あとでマッチド ペアを作るために200PCS買いですよ。
印刷2回が多いんですが1回で印刷してそうですね。
ぉ?この印字あやしいですよ。期待大です。(ぉぃぉぃ)
JFETはトランジスターテスターで測定して、JFETであることと性能値がGRの範囲内かどうかで確かめます。
そもそもNPNトランジスターかもしれません。
袋から取り出し紙に広げて1時間以上温度を合わせます。

Oh.値が近い・・・これGRっぽいな。

どんどん計測します。

1.5mA1.0Vが10個で固まってます。
1.5mA,1.3mA,1.2mA,1.1mAに山が出来ています。


冷房効いて寒いです。短時間にすべて計測します。ゴム手袋しながらの作業です。
JFETはゲルマニウム並みに温度に厳しいかと思いきや変動が少ないほうですね。
結果としては面白くないですね。バラつきはあるもののFETとしては普通な事ですし。不良品が1つも無い。
このデバイスを疑うとしたら、横流しがバレたら困るブランドの隠蔽品の可能性が高いですね。
真贋は確認出来たものの、本格的には同一性能を調べたレベルではありません。電圧をご覧ください。
1/100V精度、10mVの精度しか計測しておりません。
今やっていることは無駄ではないですが精度が1桁足りません。
これを2mVの範囲に収めると、VCOやVCFに使う事が出来ます。
200個買ってペアが5セットしか取れません。400個あればペア15セット以上は取れるでしょう。
1980年代前半までこれをアナログシンセメーカーは真面目に選別してたんですよ。もちろんHiFiオーディオにも放送機材にも使われるのでとても重要な作業です。
高額な理由がちょっと判りましたね。
これがギターエフェクターとなるとちゃんとしてないメーカーが多々ございまして・・・どことは言いませんが個体差が出るのです。

じゃぁ次はJFETを高精度に測定する基板作ってみますかね。設計楽しいと思いますよ。

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