opampを使ったAGC回路に使うRMS検出回路の実験その1

RMS検出回路とは何か。 

簡単に言うとレベルメーターを動かすための電圧を取得する回路。
なのでマイナスに触れてはいけないし、反応が遅くてもいけない。
簡単に思い描くのはコンデンサーで電気を貯める。(スリュー回路)
波形がマイナスから始まってもマイナスになってはいけないのでダイオードでプラス方向だけ整流してしまえばよい。
しかし放電してやらないと電気が溜まりっぱなしとなり、ピーク電圧を保持するだけで使えない回路となる。
放電するとなるとコンデンサーの隣に抵抗を並列に付ける事になる。
なだらか、かつ機敏に電圧が変化するという相反する動作は、やはりダイオード(半導体)で制限してやらないと作り込めない。
専用ICもあるが、もっと簡単に出来ないものかと何度も考えている。
今回はその中の一例。
 
 

 
オペアンプは+15、-15Vで動作する設定です。
入力波形がマイナスからスタートしてもダイオードの制限によりコンデンサーに影響しません。
充電用の330Ωはおよそ20mSでコンデンサーに電気を貯めています。10kΩ側にも漏れますがコンデンサー+330Ωのほうが圧倒的な割合で流れます。
放電は330+10kおよそ60mSで追従しています。
放電用の10kΩは3.3kΩ程度で充電と放電のスピードが同じになります。
放電時の電流は2mA程度なので無理な設計ではない。
ダイオードは1V程度電圧が上がるまで反応が鈍い(順方向電圧の癖がある)のでこれを嫌うならゲルマニウムダイオードを使う。
入力電圧、波形、周波数を変えて試すとほぼ要件は満たせる。
部品が多くてもよい訳ではないので全波整流するだのオペアンプで理想ダイオードだのと考えても、こういったシンプルな回路のコスト削減はじわじわと効いてくる。
意外かもしれないがCASIOはこういう所はコスト削減しないで設計する。つまりは全て作ってから集積する設計思想が根底にある。私達はそれを理解したうえで改造するので想定外の動作は起こりづらいし、無茶な改造も可能なのです。
 

評価

マイナス側の電圧を計算していないのでPW(パルス ウィズ)が10%だと充電が遅れてしまう。なのでシンセサイザーの波形を扱うのは苦手な回路。
ギターエフェクターの設計ではOKだがブックラーやMOOGだとNG。
となると入力に1μFとブリッジダイオード、トランジスターを通してから充電、放電とする方が部品は少なそうである。

次のステップ

この様に電子回路の設計は複数解があり、設計者が納得のいく解に巡り合うまで時間がかかるものです。
AIなら迷わず部品を多く使いマイナス部分も加えて設計するでしょう。あるいは専用ICを答えに出してくるでしょう。
しかし技術者にとって省略こそが冒険であり「男のロマン」(女のロマンでも良い)なのです。

回路としてはこんな感じ、第4象限反転回路です。



まぁ閾値を0Vにして鏡像になり絶対値が得られます。
ダイオードは理想ダイオード化されているのでVf値はキャンセルされます。
入力を50mVにしても正常に動きます。
下側の回路が無ければ1倍アンプですの。
下側の回路でバイアス電圧をアクティブに0Vにしようとフィードバックされるというのが工夫されています。
でもそのためにオペアンプを使うかという選択肢が悩ましい所で、「ダイオードのブリッジでもいいじゃん」
と誰かが言い出すと結局その案が通ります。安いからです。
どの程度の性能が必要か、コストは、という技術者の妥協や夢の産物なのです。
「電源?スイッチングでいいじゃん」「電源?そりゃぁトランスにコンデンサー大盛りよ」と同じです。

コメント