Eurorackの電源ノイズが気になる。気にならない?
電源は電子楽器においては最もデリケートなユニットであり、メーカーは最低限のノイズ対策はしてあります。ヤマハの回路設計は素晴らしいし、ローランドのシールド対策も素晴らしい。それに比べEurorack規格は殆ど気にかけていない状況です。「電源はトランスを使うべき」くらいかな。電源ユニットを中心に観て入口のACに混入するノイズと出口のモジュールから混入するノイズの2方向から混入します。それが全てのコネクターに並列接続するのですからノイズにめっぽう弱い仕様になっており、シンセ関係の回路を知るDOEPFERがもうちょっと外来ノイズについて対策と仕様を追加してほしい所です。
- デジタルなモジュールを電源に繋げる時はクロックに沿ったEMI対策をして下さい。
- 雷や静電気によるデジタル機器の故障を防ぐためトランスとモジュールにサージアブソーバーを付けるといいよ。
海外から輸入したモジュールが動かず、修理の為返品したがメーカー側からは正常だったとか。それはノイズの可能性が高いです。自分の電源が悪いか、モジュールメーカーのEMI対策がされていないか、正確な判断は出来ませんがそういう事でしょう。
説明しよう。
上の回路は平滑回路です。普通の設計なら1000uFと100uF(あるいは10uF)の電解コンデンサーで要件を満たし、問題は全くないと思われがちですが、4MHz以上のノイズが電源に混入してくるのでコイルとコンデンサーで減衰(結局平滑です)し、共有部を健全に保ちます。CPUを持つモジュールの電源との間に挟む事でAKAIやYAMAHAのように高いS/N比を期待しています。
貫通コンデンサーに見えるところは村田製作所のリード付きエミフィルDSS1です。フェライトビーズはBL01です。1Aまで対応しています。それ以上流すと数秒でL1~L3のどれかが焼けて壊れます。周りのモジュールは壊れません。フィルター効果はもちろんですしヒューズのように犠牲になってもらいます。
無駄が多い回路ですが現状の動作環境下ではこの位やり過ぎても無駄では無い事に気が付きました。1000pFより下が無いのは基板設計が困難になり、期待通りに動かなくなる為、1000pFまでとしています。0.1uF付近から私の持つ測定器では無理でした。アンテナで例えるとログペリオディックとかビバルディのように周波数をずらした物をいっぱい付けて重畳(ちょうじょう)しているだけです。
現物で波形を見るとノイズが完全に消えるわけではありませんし見て効果は確認できませんでした。発信器を繋げて減衰を確認する程度です。
必要な人は誰?
EurorackのモジュールでDCOやWaveTableやGranularのようなCPUを使う発信器、多重録音する人にはお勧め。Eurorackで使う16信号を別のEurorackに長距離分配するモジュールを設計しているので、それにこの回路が採用する予定です。
注意事項。
現実はモジュールの中で3端子レギュレーターICが発信してモジュールが動かない事があります。これについては心配していません。部品はすべて秋葉原で入手出来、容量が合えばどんなコンデンサーでも構いませんが、個体コンデンサー使うと駄目らしいので10uFまでは長寿命な電源用の電解コンデンサーがお勧めです。HDD付きのモジュールは見たことないですが1Aを超える為繋げないで下さい。
改善の余地。
CV/GATEにもバリスター入れれば波形がMHzレベルで鈍るけどA/Dコンバーターで処理するモジュールなら静電気から保護出来るので良いかもしれません。
グランド線にもフェライトビーズ1個入れた方がいいとどこかで見たような・・・。
愚痴。
計測出来ない分野は困る。何でこんな全周波数フィルター考えなきゃいかんねん。
ここで一句。使わない。あり得ないも技のうち。秋の夜長の台風一過。
コメント
コメントを投稿