千住金属工業のスズ65%Bクラス1mmを1kg。使いきりました。
お疲れ様でした。そしてありがとう。とてもいいはんだでした。
ビンテージシンセを修理する立場としては無鉛はんだは使うべきではないと思います。
日本のオーディオ製品を輸出をするにあたり鉛中毒を防止する為に無鉛はんだが採用されました。融点が50度近く上がる事もあり、熱に弱い音のいいコンデンサー部品を音の悪いコンデンサーに置き換えていきました。結果ビンテージシンセにも影響が出ました。- 熱劣化クラックによる断線
- ウィスカ(Whisker)によるショート。スズが多いと針の結晶がカビのように生えまくる現象。
- 高温による部品の寿命が落ちる
- パーツ変更による音質の悪化
死のパワーオン(Power On of Death)
表面実装するようになってからさらに悪影響を及ぼします。小型化により部品の実効値誤差は少なくなり良くなったんですが端子間隔が狭まりウィスカによるショートが起きました。未使用でも2年以降で発病し電源投入時に閃光とともに多くのデジタルな部品を破壊します。power on of deathとでも言いましょうか。ハモンドやローランドで痛い目に遭っているユーザーがいませんか?ノートPCの突然死やソニータイマーもその一端だと思います。私の嫌いなタンタルコンデンサーも死のパワーオンですよねー。
無鉛はんだの未来
- 低温の無鉛はんだ
- ウィスカを解明し、防止する事
この2点を解決しない限り使いたくありません。使うしかない現状である事もわかっています。銀が入ろうが金が入ろうがプラチナが入ろうが使って無いのに2年以降でメインボードが壊れてしまうのはだめでしょう。
公害問題
公害で人間が苦しんでいいのかという問題の前に「大量に捨てる」部分に着目し、
- 短命の製品を無くす
- 捨てる時期の分散化
- リサイクルの推進
- ハードウェアをソフトウェアによるバーチャル製品に置き換える。
をするほうが先ではないでしょうか。 ゴミを少なくした方がいい。
はんだの違いによる音質の変化について
音質は電気信号が耳に到達するまでいろんな要因で変化します。
- 電流変化でパーツが振動し繋ぎ目に物理的影響が出る(ここがはんだの材質で変化する)
- パーツの劣化で音質も変化する
- 温度変化で音質が変化する
- 電圧変化で音質が変化する
- スピーカーとケーブルの性能で音質が変化する
どれが一番音質に影響があるかというと5番と2番です。出口は違いがでます。
複合的な変化をキャンセルして1番だけ実験するには同じ信号線に複数のはんだ線空芯コイル300mをカシメて差分を見れば答えが出るかもしれません。5番のケーブルをはんだ線に置き換えるのです。
はんだ1m程度では私の耳とstaxのヘッドフォンでスズ50%~65%の鉛入りのほうが小音量から大音量までいい音に聞こえましたが、聞きなれているだけかもしれないので信憑性はありません。スペクトラムアナライザーで見て違いが出たとしてもどちらがいい音?といった疑問が残ります。DSOで1khzの波形を見てもはんだの違いで倍音が変化したかというと目視では違いが出ません。はんだにも抵抗値はありますが1m程度では差が解らない。興味のある方(YouTuber)に任せます。
結局の所はんだの違いによる音質に変化はあるのですが、制作時点ではほぼ差は無く、2年以降の劣化した時点で無鉛はんだからウィスカが発生し音質どころでない状況になると思います。無鉛はんだはシンセ修理には絶対使いません。(なんだかいい加減な締めくくりだな)
同じような問題はエンジンオイルでもありましたね。鉱物オイルと合成オイル。鉱物オイルの方がエンジンにやさしく、エコでない。合成オイルはエンジンに過酷で、エコである。詳しくは書きません。
ちなみに・・・
鉛入りはんだのほうが経験が浅くても短時間で綺麗にはんだ付け出来ます。経験のある人は温度調節するので両方使いこなせますけどね。
コメント
コメントを投稿