問題提起。はんだを変えると思った音に到達出来ない。
前回、千住金属さんの金属缶を使いきったと書いたのですが、それを補うべく翻弄しております。千住金属さんの金属缶は私の感覚ではオーディオアンプの世界でいうとビンテージのテクニクス、トリオ、ソニー、ヤマハのはんだに相当するように聞こえました。勿論それはスピーカーの性能も違いはんだのメーカーも国内には50社近く存在していたので不正解だらけかもしれません。シンセだとアナログのヤマハの一部とコルグは相性がいいです。CS-5やpolysixやmono/polyのような暴れ馬の修理を邪魔しません。poly-800やpoly-81に使うとちょっと良くなるということは別のはんだかもしれませんし交換部品の差異かもしれません。
楽器用のはんだはKester 44が基準です。1990年代のシンセの修理にKester
44は有効です。44だけでもでも年代の違いがいっぱいあり過ぎで訳が分かりません。Kester
27-xxxx-xxxx(有鉛+銀)はスペックでは興味あります。千住金属さんの金属缶はそれを越えて好きな音でした。後継の千住金属のスパークルハンダ1970-1980年代のビンテージを試すのが正しい方向ですが、金属缶リール→紙リール→プラスチックリールと外見が変わり、1980年代の紙リールはそう簡単には揃いません。コンピューターの修理には紙リールを使ってますが間もなく無くなります。常にビンテージはんだを使っていた状態なので今無くなってしまうと最新のKester
44頼みになってしまいます。・・・面白くない。
今の修理に使う最善のはんだは、オーディオ信号はKester 44、ロジック部分はアルミットKR-19のRMA無し、でいいのかと悩んでおります。この法則で行くとAceTone TOP-6は全部Kester 44で修理です。現状のはんだワールドを紹介しながら修理用のはんだのあるべき姿を整理していきたいと思います。
はんだワールド入口
現在の電子部品はんだワールドは成分で大きく2種類。温度で2種類。 に分かれます。
- 錫と鉛が主成分。(ウィスカ問題なし、)
- 錫が主成分。(常にウィスカ問題あり、キンキンとした固い音)
- 銀や銅を混ぜるとフットルームから変化します。これを認識するには高級オーディオ環境以外見分けがつきませんがヘッドルームの歪み音はちょっといいヘッドホンで判断出来、はんだの聞き比べが出来ます。一般的には銀はんだは高域が一皮むけてキンキンな音に変わります。KORGのDDD-5やYAMAHAのFB-01やAN200やMU-128以上、RolandだとMT-32系やRS-09、CASIOならCasiotone201以上やCZ系といった設計や部品を間違えて出音に問題のある(ぉぃぉぃ)レンジの狭い機種がいい感じになります。Casiotone701,CZ-1は最初から出音がいいので除外します。
- 高温はんだ(クラックしずらい)
- 低温はんだ (クラックしやすい)フィルムコンデンサーや電解コンデンサーにやさしい。
- ビスマスを混ぜた超低温なはんだもあります。電化製品と違い、楽器は振り回して振動しますし、閉域空間で熱収縮も大きく、コンデンサーやコイルも物理的に振動していて、高温はんだのほうが寿命が長そうです。
そしてわたしでもよくわからないフラックスの種類はRMA規格,ロジン,ACID,プラスチックと天然物、成分は表示されていますが純度や性能は非公開です。フラックスはMHz,GHzの信号を扱う時に影響が大きいのはわかっています。有鉛はんだのラベルにBと書かれているのはJISの表記でフラックスの成分の分類であり、優劣の順位ではないようです。RMAが付いていれば良いはんだかというとそうではなく、分野によってはRMA付きは使うなと指定する企業もあるようです。(私自身RMAのはんだ使ったことありません、RMAはんだの失敗談を基板のプロ中のプロから直接聞きました)
ビンテージ機の時代には錫の多いRMA規格のはんだは無いに等しいのでこれからも使う機会はないと思います。また、鉛のはんだに置き換える事により長寿命・いい音に生まれ変わればいいと期待しています。
はんだワールドビンテージ入口
ビンテージはんだは主に経年劣化による変化なのか元から現行のはんだと性能が違う。
- フラックスとの化合
- 表面の酸化
- 精錬技術や産地による純度の差
- 成分誤差(混ざり具合・無重力で作っているわけではないので偏りはある)
- 結晶が成長しなじむ(自然環境によるエージングで結晶が整列する)
主な用途
- ギター改造向けに劇的変化を目的に使う。
- オーディオ修理向け。現状維持を目的に使う。
さぁ困った。満足のいく楽器修理用半田はどういうスペックか。
ロジック部分 | 有鉛はんだ |
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オーディオ部分 | 有鉛はんだ+ビンテージはんだの粒立ちの良さ、弾き易さが感じられる事。 |
粒立ちの良さ、弾き易さとは信号としてどういうものか説明しますと、低音域とその倍音の再現性が忠実である点です。 銀はんだの分部で挙げた機種はこの部分が残念でした。キンキンな音になっても固定LPFでカットする設計でもさじ加減が失敗していたり、低音過多でステレオ感が失われます。M1とO1/Wのステレオ感の違いといいましょうかAN1XとMUの増設ボードの違和感といいましょうか、そんな感覚です。D/Aのビット数が違いますがFB-01とメガドライブどっちが粒立ちがいいかといえばジャキジャキのメガドライブの音の方が好きですし、そう改造出来るのです。設計、部品、はんだの組み合わせで本来のポテンシャルを失っているシンセが多かったのではないでしょうか。
話はそれますがベリンガーのクローンシンセの類はそういった設計上のミスを理解したうえで置き換えて改造されているので私としては非常に興味がありますし、良くできているし、チップ部品でも改造したくなる逸品揃いです。高く評価しております。非常に楽しい楽器です。303があんなに固いわけがない。改造するとあら303!改造版も販売予定らしいですが。
話をはんだに戻しましょう。
Youtubeではんだ聞き比べ動画をチェックしました。
https://drive.google.com/drive/folders/1yYoT46B5MO5BM4UEZ0BImGDjUxczdTIk?usp=sharing |
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