ENSONIQ MR-61 MR-76 修理 Power Supply Board 交換編

ENSONIQ MR-76(JUNK)の修理記録。

症状

電源入らず。テスターで診断する限りではSkynet社製PSU(Power Supply Unit) 6030000201 が故障している。
5V,+15V,-15V何も出力されていない。ヒューズも切れていない。全部出ないということは中央のスイッチング部分の故障と思われる。
深さのある空間ではあるが基板のサイズが5inch x 3inch 1.3inchという日本では売っていないサイズ。
開けた事は無いがFIZMOもこれかもしれない。
Skynet社製で修理すると多分同じ故障が発生しそうなので(値段も高い)MEAN WELL社製PT-45CかPT-65Cで置き換えてみる。電源というものはワット数が大きい製品は熱が少なくて長寿命です。しかしこのサイズで3出力ともなるとかなり窮屈。
左がMEAN WELL社製PPT-65C,右がオリジナルのSkynet社製SNP-9544

私が上司なら設計し直しさせます。
私がマジックで書いたサイズは気にしないで下さい。
出力の6ピンケーブルの加工が必要かどうかこれから確認するところです。
電源が正常になったら次のステップに進めますね。

MEAN WELLの電源は医療用電源も売っているので信用度は高く、設計自体は上手く出来ているようです。
 
アンペア数が上がると基板パターンの細い部分が発熱するので右のような加工で対策している。
 
左右とも発熱する部分に穴を開けて空気で冷やす対策がされている。とはいえ風通しの無いキーボードの中ですから。自社開発製品でないと熱対策は出来ないですね。
AC電源に差してDC出力のピン配置を確認した所Skynet社と同じでした。(普通は同じ)コネクターもそのまま使えます。
 

ちょっと乱暴な修理方法

さてここで考えておかなければならない事。「この楽器は電源を壊して止まった」という事実です。
多くの場合電源そのものの要因か、別基板からの外的要因で電源が壊れます。15V系は主にオーディオ。5V系はICの駆動に使われます。 両方壊れていますのでまだ何も解決していません。
 
ではコネクターを差しSwitch On!起動せず!電源がチュィ--ンキュンキュンと発信し始めました。
その間2秒でSwitch Off!

この症状はケーブル逆挿しや挿しミスでのショートです。メインボードのコネクターを全部外し、メインボードだけでテストします。
 

Switch On!電源が鳴らない。成功。電圧出力も全て正常。Switch Off!次、アナログボードと繋げてもう一度。
Switch On!電源が鳴らない。成功。電圧出力も全て正常。Switch Off!次、Keyboardと繋げてもう一度。
Switch On!電源が鳴らない。成功。電圧出力も全て正常。Switch Off!次、Floppyと繋げてもう一度。
以下略。
 

これで全てメイン基板への接続をやり直したところ正常に起動し、音を確認することが出来ました。

2つガイドが無いヘッダーピンだけのコネクターがあるのでFloppyを交換してコネクターをずらして挿してしまい、長時間の負荷に耐えられず電源が壊れたのが原因と推測されます。

他が壊れていない理由

壊れてないの?と思われがちですがショートして壊れるのは電源です。15Vや5Vが0Vになるならメイン基板は壊れません。電源の寄生発信は電源側に負担が大きいので数秒なら耐えられます。すぐFUSEが切れるならそのほうが良いのですが・・・

ユニット電源の有利・不利

電源とメイン基板が一体の場合で電源が壊れたら電源の故障個所を探すところから始めるのでその分長期化します。でも無理な小型化や熱対策も出来て壊れにくいです。でも壊れたら修理は難しい。
ユニット化して分離していれば修理は簡単ですが頻繁に壊れます。 
 

残りの修理箇所は?

Floppyドライブ。
Fatarの鍵盤が黄ばんでいます。
パンポットのツマミがありません。 Dシャフトです。

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