Clavioline Filterを作ってみたい。1950年代のシンセをEurorackに再現する。(野望)

Claviolineって何?

ビンテージシンセといっても世の中にはとんでもなく古いシンセが存在します。
テルミンは聞いた事はあるでしょうけど、クラビオリンはねぇ・・・
オルガンより歪んでレゾナンスの利いたモノシンセです。
今でも海外には多いですよ。
なんたってギブソンが作って売ってたくらいです。
設計思想としてピアノの鍵盤の下に付ける電子楽器だったのですが、ブーミーな電子音はピアノには合わず単体でリード楽器として使われてヒット曲もいっぱい生まれました。
 

1950年代のFilterを再現。

こいつのFilterが固定のLCフィルターの組み合わせなんです。
では回路図を紹介します。
上はGND。右にIN/OUTがある。L1~L5が重要。


イギリスの特許資料を読んでみるとノコギリ波を入力に3kHz,1kHz,200Hzのピーキーなパッシブフィルターだそうです。
ピーキーでなくて良ければコンデンサーの容量を10倍にすればいんですよ。
でもそれはちょっと面白みに欠けます。
難しいのは5つのコイルのうち4つは100mmの四角い(かどうか不明)鉄棒1本に巻いています。
んーM10のボルトに手巻きですかね。一般的なトランスを調べる必要がある。
そもそも10mH越えてるコイルなんてロストテクノロジーそのものだ。
こんな低い周波数はディップメーターの範囲外。どうやって調整するやら・・・
スペアナでいいのか。うむ。
なんとなく写真からは巻き数が5つ全て同じに見える・・・・本当かな?
 
参考url

シミュレーションしてみる


 




ギブソンの回路は間違ってないか?9からおかしい。
早々につまずいている。
止まったらSWを戻してSTARTを押してください。

回路図通りに組むと3,4,7,8,9,C32は直列に抵抗が無いとエラーとなる。すなわち1Ωを沢山追加しなければ複数のSWが押せない。

5つのチョークコイルはすべて同じ値でL1~L4は1:1のトランスで再現してみた。
およそ10~100mHが元の波形を崩さず出力される。だがしかし大きければ電圧が無限に上昇しコンデンサーが爆発する。
なので3,4のようにキャパシターの電圧を逃がす抵抗(以降ドレイン抵抗)が必要となった。
 
スペクトラムは可聴範囲を軽く超え、FM音源や加算合成音源と同じ。

5,6はGNDに繋がってはいるが、コイルの起電力により振り子のようにゆれ、波形を変形する特徴がある。
ゆれるとGNDに流れずコイル側に流れているのがわかる。この状況で1-6のGNDが左にまとまり上はコイル、下はGNDに分かれているうちのGNDの縦線を外してみても、振り子のように揺れ続けるのを確認できる。a
GNDがあるのにそこに電圧が溜まり続ける不思議な世界がそこにある。
勿論1234を使えばGNDに電流が流れる。

各Switch1~Vまでの解説を書いてもいいけど目測でどのコイルを使って高調波を加算するかというコメントを付けました。
Swgはスイング、FBはフィードバック2Lは2つのコイルを使ってx2は2倍の正弦波が加算されるという表記です。 パルスタイミングで各正弦波はリセットし同期します。プリセット型ディスクリートFM音源と銘々しましょう。

各Switchの出力電圧は入力電圧の80%~150%とバラバラなので現代のシンセとは異なる。理由として出力はコイル特有の電圧の変動があるから。対策として低電圧のコンプ回路を追加。±2Vを超えるとダイオードに流れ、その抵抗値と10kとの合成抵抗で増幅(実際には減幅)します。

PWMではないが波形の連続変化のポイントは各ドレインに1kのボリュームを追加すれば可能。これはFM音源の音色作りに似ている。コンプが付く状態でL4にLFOを繋げると上下に揺れるのでAM変調のポイントとなっている。
 
更なる再現性を追求するならVSTiを買って波形を見ればコイルの値が決定します。
意外にもコイルの値が正確でなくても倍音が変わる楽しいFilterであります。
ノコギリ波に対してのモジュレーションという構造だとYamaha SY77でも似た音は出せるでしょう。
 
このシミュレーションで理解したことは、フィードバックとして作用する789の効きが弱い。0(1L FB)の意味が不明。同期し過ぎて個人的は物足りない。
 
クリッピングすると容易に奇数倍音が得られるのでコイルの2次側に仕組みを入れてみた。
 

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