TC5514とはどんなIC?なぜこれが必要か。
TC5514はメインメモリーとしてシンセサイザーにMIDIインターフェースや音色メモリーを使う為に欠かせないICです。
シンセのバッテリーが無くなると内容が消えるのもこのTC5514への電源供給の問題です。
当時の値段はこれ一つで1600~2400円近くしたと記憶しています。へたするとCPUより高額です。
ROMも高かったですよ。
1024bitを4本セットで読み書き出来4KBのS-RAM(BYTEといっても4bit)、3V流していれば内容は消えない特徴があります。
ここをF-RAMにリプレースし、バッテリーレス化すれば100年は使えます。
ただ変えただけでデータが消えることは無くなりますが、ボタン電池の電圧を検知して表示する仕組みがある場合、常に3.3V流れるように誤魔化す改造が必要です。ここはどの機種がこれという情報をサービスマニュアルから収集していけばよいと思います。
「Low Battery」と表示されて次に進めないSystemだったら困りますからね。
バッテリー替えればいいじゃないですか?
はい、バッテリー交換は±の2本だけの話ですので難易度は低いです。(とはいえ一般的には工具が無いと難しい)
この改造は18本も処理しなくてはいけないので、ある程度の経験が無いと出来ません。
その経験者からこの基板を観て、「ははは、誰かがやるとは思ってたが、良くできてるな、うんうん」と云わせる製品です。
HM6116とどこが違うの?
大きさが一般のロジックICの幅。150mil。そしてアドレスに対してのデータバスは4bit。え?なぜCPUが8bitバスなのに?歴史的事情があるのです。6116より古い世代のメモリーなのです。
この幅ではF-RAMは収まりませんので立ててしまいましょう。
絵に描くとこんな感じです。
DIP-18だと2列9ピンのL字ピンヘッダーが内側に収まります。それを受ける基板を作ればいいのです。
難易度は物凄く上がるので全くお勧めしません。
何処までコンパクトに出来るかは私次第です。
この構造だと高さ方向を増やすとBOSS DR-110には収まらなくなりそうです。ストレートのピンヘッダーで収める改造をすれば収まるかもしれません。今DR-110を考えるのは辞めます。ともかく汎用に使える物を作ります。
早速KiCAD6で設計しました。
まずDIP-18にL字ヘッダーを付けるベース基板。
特に悩む箇所は無い。 |
厚みが必要です。
ピンヘッダーを美しく切り詰めないといけません。特に縦基板のほうは高性能、高精度のニッパーが必要です。この時点で材料は安くてもコスト的に量産は出来ません。
OE信号を得る為にロジックICが必要になりました。 |
- 5514系(他メーカーは型番が違う)のICを抜き、交換するだけ。
- 8バンク切替えSwitchも付けられる。切替えに興味が無いならSwich無しでよい。このDIP-SWはCoded Switchと呼ばれるもので、回すと2進数の接続が行われます。秋月電子で売っています。
NAND回路は「入力が全て1の時0、それ以外は1」ですので、U2AはOE信号を作る為のNOT回路です。
コンパクトな設計(無謀ともいう)にするには自動配線を使います。
KiCAD6には自動配線機能がありませんのでFreerouterを使います。
あらかじめインストールしましょう。 |
無茶な配置をしたら受け渡しの為にSpecctra DSN形式でExportします。(SpectraではなくSpecctraで合っている)
下の図をご覧下さい。
ピンヘッダーとメモリーが重なっていますよ。メモリーを付けてからピンヘッダーを付けないと作れません。
スイッチの重なり具合も普通ではないです。
熟練者のみが手作業で作る、このシリーズで一番高難易度な部品です。
ゴン攻めです。取付順序に制限あり。 |
Freerouterにタスクを替え、Specctra DSN形式をInportします。そしてAutorouterを実行します。
無謀も度を越えるとエラーが発生し、止まります。無謀な配置も経験次第で成功することが出来ます。
無茶振りする程計算に時間はかかる。 |
FileメニューからExport Specctra Session FileしてFreerouterは終了します。
KiCAD6にタスクを戻し、インポートからSpecctra session...を実行すると配線が現れます。
自分の配線ポリシーに沿って修正しまくります。
電源線は太くしましょう。 |
出来ました。
ガーバーデーターとドリルデーターを出力して発注します。
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