Transistor hFE Checkerの設計(演算部分)

トランジスターのhfe測定を手を抜かずに設計する。

最近の書き込みでダイオードのVf値やトランジスターのVbe値が同じ物を使うと設計者の意図した美しい発信やフィルターの波形が得られます。特にアナログシンセやDSPを使わないエフェクターは出音が変わります。特にトランジスターは同じ型番でも性能のばらつきが大きく、YamahaのシンセとQuasimidiのシンセ位の差となります。(冗談です)
Vf,Vbeは正確なスイッチングに必要。hfeは増幅の性能を合わせるのに必要。 
これらの値を測っているうちに「なんてオペアンプは偉大なんだ!ロジックICも正確で最高!」と思うようになりました。
アナログシンセは量産するために部品がいい加減でもそこそこ動きますが高額なアナログシンセや最上位のものは質が違います。抵抗一本2円の所に精度が必要で500円の物を買って品質を担保するか250本買って選別するかというコストの問題になります。精度の低い部品は景況の無い回路に使えば良いだけなので後者を選びます。

というわけで今回は回路が簡単なhfe値を測るマシンを設計します。
参考にした回路はこちらから。
 

私が設計するとこうなります。
 
 

ソケットにグサッと差してPushSWを押すと計測出来ます。PNP/NPNの切り替えにつかうのは画面だとスライドSWが付いてますが3Dデーターが間違っています。本当はトグルSWです。C2のセラミックコンデンサーも四角いフィルムコンデンサーです。
 
はい、1個はこれで測りますが大量に計測するには工夫が必要です。
 

 昔懐かしい内蔵SCSIケーブル50Pでトランジスター24本を切り替えて計測します。
「おい貴様!トランジスターの足は何本だ?」と思われた方は正しいです。普通に考えると16本までしか計測出来ません。エミッターを全部繋げちゃいました。
そして次にVbe値を測るのに1本目と1+x本目とを比較する事になるので1本目のエミッターとその他のエミッターと分けた設計になっています。
この考え方だとダイオード版は48本や49本計測出来ますね、でも太さの問題で2.54mmで並べるのが困難かもしれません。
更に恒温ルームという名の段ボール箱とスイッチングを分離する事により、いつでもどこでも25度を保ちます。ペット用に使われるデジタル恒温制御装置(冷・暖両方の自動電源SW付き)を使います。風をガンガンあてれば1分で値が安定するはずです。
このトランジスターの差し込み基板は1.27mmピンソケットとIDCソケット50Pで出来ています。これとSCSIケーブルで1単位と考えて複数単位作れば、1番ケーブルを差して計測。抜いて2番ケーブルを差して計測、抜いて3番ケーブルを差して計測。といったように200本に2日かかりそうな作業も1時間以内で終えることが出来るのです。 
たまにかけ離れた値が出たものは接点を洗って再計測です。
私の電圧計はトリガー動作で電圧値がUSB経由でExelに記録されるのであっという間に24本計測できるはずです。
抵抗は秋月電子の0.1%どころではなくDigi-Keyで0.01%を使って更に選別して精度を上げてます。
他に欲しい部品もあったので(Spectra Symbol社のリボンコントローラーの素)滅多に観ない黒い車で配達してくれます。
 

抵抗のパターンが見たことが無い形になっておりますが、高精度な金属皮膜抵抗が秋月電子や千石電商で確保できなかった場合は底面(だけ)に2012サイズのチップ抵抗を半田付け出来るよう改造してあります。
トランジスターソケットとピンヘッダーの間にある□にはケーブルの誤挿入防止の為にケーブルの色のサインペンで色を塗って下さい。シルクは白色で印刷するので視認性はいいと思います。 これ「.」なんです。空白はKiCAD側が許可しない。
 

思考アルゴリズム公開

  • 線の太さは1.8mm。1.9mmよりいいと思う。
  • 設定操作が必要なので2つのコSWとトランジスターのソケットは離す。
  • 2つのコンデンサーもおなじ。
  • 設定操作が必要なので高さのあるコンデンサーは寝かせてホットボンドで固定するつもりで配置。
  • 右利きなので作業頻度の高いソケットはは中央か右に配置。
  • トランジスターのソケットは使いやすいように下に配置。
  • ECB,EBCの並びはパターンのシンプルさで決める。但しBCEと反転して見えてはいけない。
  • 四隅のねじ部分にフレームグランドは1つ。 電源から最短の位置に配置。
  • できるだけ両面で配線が重ならない。交差しない。一筆書き。
  • 電気の通り道は鋭角に曲がってはいけない。
  • パターンは細い部分が電熱線に成り得る。
  • ビアは電源端子の位置を再設定した物と想定する。そして熱を逃がす役割もする。
  • グランドをベタ塗りにするなら+もベタ塗りする方がいい場合がある。Yamahaはベタ塗りの中を線引くの好きですよね。
  • 片面で出来るだけ配線しもう片面は裏技として使う事を心がける。
 

そういえばKiCAD7がリリースされました。

PCBエディターがまだ不安定ですね。いきなり落ちます。
これ作るのに5回落ちました。
でもその分回路図のドラッグ操作が改善されているのでいい感じです。反転文字も使ってます。
V5からV6はそのまま移行出来ませんでしたがV6の思想がそのまま採用されているのでV6は消してもいいです。
 
次は24本の部分ですかね。

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