Transistor Vbe Checkerの設計(電源・演算部分)

Vbe Checkerとはどういうものか。

Vbe値はトランジスターのベースに電流がちょっとでも流れると蛇口のようにコレクターとエミッター間に数百倍の電流が流れるという動作の開始点を計測する物です。ダイオードでいうVfも開始点という意味では同じです。
開始点の同じ部品を揃える、開始点の低い部品を使うという選別は、設計図通りの期待する動作、正確な波形、正確な発信、正確なフィルター、正確な増幅、アナログシンセにおいては調整が少なく上品な製品となります。
アナログシンセを販売する主要メーカーは公表はしませんが高額なシンセはトランジスターのマッチングを取り選別しています。
マッチングをとらないで製品を作ると1台1台個体差が出ます。例えばギター用のアナログ回路の多いエフェクターです。
同じ性能のトランジスターは大体500円程度で輸入できます。日本では見かけません。だから私が作るのです。

 

厳しい条件、それは温度です。

常温での測量は出来ますが気温に敏感過ぎて大抵の人は妥協し諦めます。チップに振れたら5分は安定しません。鼻息もダメです。朝、昼、晩、翌日と値が違います。
恒温室が必要です。モーグ博士は20度を提案しています。私は25度を提案します。温めるのは簡単ですが冷やすのはコストがかかるからです。
ではシンセサイザーのDIYで有名なmusicfromouterspace.com(MFOSと呼ばれています)の回路を観てみます。
 
 
モーグ博士の回路も観ておきますか。
 
 
正確な分圧に使いたくて10k +-5% 1/4wを指定しています。1970年代には+-5%という基準は精いっぱい高額&高精度で実現していたのですが現代では+-0.01%まで追い込めます。
追い込めば追い込むほど計測時の精度が上がります。昔も今も+-2mVのトランジスターが発見出来れば良いだけの話なのに・・・。
しかし日本人である私にとっては無駄に精度が高く値が公表出来る事は普通の事です。
 

回路図の説明  

 



電流調整の抵抗。

MFOSとMOOGと違うのはトランジスターの電流調整の49.9k,51kの所。正確な50kを使えば良いのですが、50kという抵抗は存在しない入手しずらい部品なのです。私は正確な100kを2つ並列に使い解決しました。

9.1Vツェナーダイオード。

精度の高い電源を得るには専用ICを使う方法もあります。MFOSは9.1Vツェナーダイオードを使って部品数を抑えています。左の10uFの値の大小で10vに到達するまで時間が掛かります。100uFだと我慢できない。4.7uFのほうが全く気にならない速さで良いと思います。そのくらい値が変動しても問題ない部分です。
R1,R2で電圧の可変範囲をかなり絞っているので9.1Vをちゃんと処理してくれるツェナーダイオードが必要。購入しただけの部品は5%ずれていた場合9.1x0.95=8.645、9.1x1.05=9.555と使い物になりません。これらは下のシミュレーションでテスト出来ます。

20kΩの帰還抵抗。

帰還に使う抵抗と手前の抵抗は1k~100kが一般的で、揃える事で1倍の反転増幅回路になっています。
20kの入手性の良否と10vの調整精度を向上させるために24kを使います。調整は1kで10倍精度で調整できます。

回路シミュレーション

オリジナル拡張回路の説明。

NPN,PNPの違いを1つにまとめました。
トランジスターのピン配置も3通り使えるよう設計しました。
基本はMFOSの回路を理解すれば私の拡張した部分を理解しなくても問題は起きないでしょう。スイッチは多いですが興味のある方にとってこのパズルはいい刺激になるでしょう。
 



基板のサイズは50mmでは無理でした。部品数は少ないのに0.8mmの配線ルールを使うと難易度が数倍に上がります。部品のレイアウト次第で貫通ビアも無くせると思います。

switch部分が混み合うのは仕方がない。そして揃えなければ操作性が悪くなる。
 
上が電源、下が演算部です。
コンデンサーはチップ型とフィルムコンデンサーどちらでも付けられるようあなが4つ空いています。
抵抗も風に当てる為に全て立てています。
スイッチはSPDT,DPDTを多用しています。トランジスターのピン配置部分をSPDTにしてもちゃんと並べれば問題ないでしょう。
私的には出来が悪い。美しさに欠けるので作り直したいなぁ・・・昔の設計方法で「線を引く」設計ではない「線の間を切る」 方法で作ってみたい。そんな希望はあるものの現実はそうはいきません。
線を引いているうちにレイアウトのアイデアが出てくるんですけど、どれも電気的には正解です。きりがありません。
まぁ職人とはそういうもんです。

部品の入手状況

200pFのc0g特性コンデンサーを輸入したらサムソンのX7Rの+-20%のありふれたコンデンサーが1リール(4000個)届きました。返品なしの返金処理中で同時に再注文でc0g特性+-5%を送ってくれる予定です。私の場合精度がどうでもい
い作品というのがなかなか無いのでそれこそ電源のノイズ対策以外の使い道はありません。
 
恒温コントローラーも到着しました。HDDを4つに切ったような小ささです。STC-1000といいます。amazonでも売ってますね。
 
IDC50pinメスコネクターも到着しました。SCSI以外に使うなんて思ってもみなかった。まぁこれ以外に思いついたのはエッジコネクターですが入手性もコストもIDCには敵いません。

内蔵SCSIケーブルも到着しました。ヤフオクで1000円ほど。

やっと小さい方のFRAM。FM1608が来ました。POLY800のバッテリーレス化が出来そうです。
 
新たにCC/CVモードが使える定電圧電源を入手したので現在利用中の電源はヤフオクに出品します。

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