誰も成しえないClass D Audio Amplifier用Power ON/OFF時用のミュート回路をシミュレートしてみた。

これは何か?なぜ必要か?そしてなぜ誰も成しえなかったのか?

D級アンプの背景

D級アンプは1990年以降に物凄く発展を遂げました。どういう発展かというと、小型化。高効率化。定電圧化です。1980年代まではICでどう頑張っても切手4枚で収めても熱で壊れるのが普通だったのですがMOSFETと高クロックのおかげで3mm角に収めるに至りました。極端な話、10の力で6くらいの音量で鳴って4は熱になっていたものが10の力で8ぐらいの音量が出て熱が2になるのです。そして値段はほぼ変わりません。これはえらい事です。
 
 
これらのICはコンデンサーを内蔵することが出来ず、どうしても外付けしてして電源とボリューム調整して出来上がります。コンデンサーはアルミやフィルムやセラミックですからICの中には入らんのです。
 

なぜ必要か?そしてなぜ誰も成しえなかったのか?

ICのデータシート(規格表)には必ずミュート用の端子が付いていますが、この場合製品化するなら電源やコンピューターがあり、そこがタイミングを作って動作します。アンプ単体のキットではそういう所は全く無視されていまして、まともにミュートが機能する事はありませんでした。DIYで改造する方もミュートを真面目に作る方を今まで観た事がありません。
スイッチON/OFF時の「ボフッ」という部分を検知をしなきゃいけないんですがその部分が欠如している状況で、アンプへの電圧をシビアに検知するしか方法はありません。
流通している製品はミュート回路は完全に無視されています。サンプルの回路には書かれておらず、製品はサンプルの回路そのままだからです。
なので私が作ります。(あるいは電圧監視ICを使いましょう)
とりあえずPAM-xxxx、TPA-xxxxのデザインシートを観て使う電圧の幅がありますが共通して使えそうな回路設計を目指します。
 
まぁそれはいいとしてシンセの中にもスピーカー付きの製品がたまにあります。ユーロラックのシンセも移動する事を考えるとモノラルでもいいからスピーカーついてたら使いやすいですよね。
でも音に出す部分って10Wもあったら50LFOくらい動くんですよ。つまり内蔵するには電気喰い過ぎるので別コンセントでお願いしたいくらいの厄介な製品です。 

必要要件

  • ON時の遅延回路
  • TTL信号用電源回路
  • OFF時にMUTE端子にHigh出力し電力を使い果たし終える。
 

大体9V/12V/13.8/14.3Vあたりを使うでしょう。
下のグラフでオレンジがVCC。
7V以上が1秒続いたら遅延回路がHighに。シャットダウン信号はHighに出力。
VCCが切れて7Vまで落ちるとMUTE回路がHighに&遅延回路はHighのままだがシャットダウン信号はLowに出力。
もっと手前でMUTEをHighにしたいが8Vを検出するならもう1つコンパレーターが必要となる。
ツェナー用の抵抗は1kΩが妥当かもしれません。 10mAもあれば充分。
コンパレーターの先のCD4030はIC1つで解決してくれるので使いました。こういうロジックICを学んでおくと便利です。
上のコンパレータの-端子の1uF,470Ωは1秒になるように値を変更します。およそ1uFと10kΩです。
 
τ=CR=1[μF]×10[kΩ]=1[s]
τ=CR=1[μF]×10[kΩ]=1×106×10×103=1[s]
 
下のコンパレーターの-端子は7V付近を検知します。 抵抗による分圧ですね。
 
計算式は【 抵抗2(kΩ) / (抵抗1(kΩ) + 抵抗2(kΩ)) * 電源電圧(V) 】です。
これもオペアンプでよく使います。 
データシートのタイミングと照らし合わせて確認しましょう。

 
PAM8620のPower Up/Down Sequence
 
この図の右側がON動作、左がOFF動作です。
現状はOFF動作時SHDNとMUTEが7Vで同時に動く事になる。電源を失いながら信号をHighにするのはいいのだがそのスタートはわからない。この図は実現不可能ですよ。VCCが正常な状態でMUTE開始を予測で出来ません。おそらく電源スイッチに振れたらという仕組みがあれば良いでしょうが、一般的ではありません。トランスのACを検知するならもっと解りやすい。
ON動作は仕様通りに動きます。 
ん~半分は出来たけどシャットダウンは現状では不十分ですね。これより先は諦めましょう。

さて、ユーロラック用に設計図かいてみますかね。

コメント