PhotoMOSRelayを使ったDigital Potentiometerの設計。True Digital Potentiometerと命名。

ボリューム(Potentiometer)を制御したいが思い通りのデバイスが無い。

となります。今回は前回の流れでEGの2MのPotentiometerが制御出来ない。電圧制御が面倒くさい。という問題を爆田研がデザインするとポン付け可能なDigital Potentiometerとなります。
ただし、小型化と価格は無視です。
では設計思想はここまで。
既製品との違いを説明していきましょう。

既製品の構造

wikipediaより引用
 
既製品はこのようにRのアレーの間にwiperに相当する部分を通電させる仕組みです。
まぁ128のアレーに対して127のFET、これをまともに個人で作るには無理があり、wikipediaのDigital PotentiometerのLimitation(制限事項)にあるように普通に使おうとすると抵抗値・電圧・電流・方向と、とてもじゃないけど使えません。
Potentiometer Simulatorとしては良さそうな回路に見えますがFETやTransisterは選択ミスです。
汎用性(Multipurpose)が全くありません、不完全なPotentiometer Simulatorです。
小さくて・安い、この点については素晴らしいです。
 

爆田研がデザインするTrue Digital Potentiometerの説明


MOSFETが真のPOTを実現する
 
完全なPotentiometer Simulatorです。
この設計は出力や入力を得るのではなく抵抗器を合成しているので汎用性があります。
 
1/2Rを並べるビット加算方式。10KΩのPOTなら5k,2.5k,1.25k・・・と制御ビット分2系統用意する。
2系統の中間にWiperが存在する。1%以下の精度で中点が得られるため付加回路が不要。
2系統目は1系統目のビットが反転している。これでWiperが動く部分をシミュレート出来る。(Wow)
Potentiometerと使い勝手が等価に近く制限事項はPhotoMOSRelayの耐圧のみ。
Wiperと片側をショートさせて2Pinとして使う用途なら回路が半分で済む。
PhotoMOSRelayが高額。しかしOn抵抗は1Ω!交流が使える!高耐圧!絶縁環境なので低ノイズ!
低電圧のアプリケーションの動作では分圧の効果により低い方の抵抗値が不安定になるかもしれませんがPhotoMOSRelayのデータシートを観た限りでは問題ありません。勿論実験してみる事をお勧めします。


PhotoMOSRelayデバイスが無いので間接的にシミュレーションしています。
  • シミュレーションでは抵抗値の高い部分に電流が多く流れるのが解った。
  • 多くても20nW(NanoWatt)であり、採用するチップサイズが小さくて済む事が解った。
チップ抵抗は安くて高精度な為、10K,20K,50K,100K,200K,500K,1M,2MΩをまとめて実装してジャンパーで切り替えても単価は100円も変わらない。 ジャンパー部分が占有面積が大きい。この問題はどこで妥協するかはやってみないと解らない。
抵抗16個をサブ基板(DIP18)にして抵抗値を交換しちゃうシステムも面白い。
ビット加算方式はBカーブしか構成出来ないがソフトウェアで変換する事は可能。
PhotoMOSRelayを変えて真空管用途にも使える。
偶然8bitで設計したので上位4bitと下位4bitのそれぞれ16段階の粗調整(Coarse Adjustment)と密調整(Fine Adjustment)のダブルスライダーのUIで設計が可能です。小さなタッチパネルなら256段階のスライダーより調整がしやすいでしょう。

想定する用途。


Midi規格は基本的にChとキー情報を管理する事が根本にありましたが、この場合Potentiometer情報の管理になるのでMidi化ではなくDMX512化する方向になり、Midiも無い、プログラムチェンジも無い楽器に対し有効です。
簡単に説明するとminiMoogがメモリームーグになります。(わかりづらいね)
  • ツマミの多いシンセサイザーからツマミを排除・または1つにする改造。Korg PolysixがPOLY-61になる(これは悪夢だ)
  • メモリー機能の無いアナログシンセにメモリーを追加する改造。Yamaha CS-15,CS-10がCS-10M,CS-15Mになる。(発想は面白いがもう1台買える値段だ)
  • Benderの動作を時系列に記憶しボタン1つで動作させるファンクション改造。(12bitなら使ってみたい)
一般用途には既存のPotentiometerに電圧と電流がどの程度流れているか調べたうえで置き換えます。
なおビンテージシンセのPotentiometerにこのデバイスを使ってもSwitchも多くDigital化しないといけません。
勿論PhotoMOSRelayがそのカギを握っている事がこの記事からも想像出来ると思います。
 
うまくいったら報告下さい。

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