BOSS BD-2のModification。爆田研の答え。

BOSS BD-2とは

BOSS BD-2とはブルースドライバー2号機でありFenderかどっかのギターアンプの中身を模した歪みエフェクターです。
ただし、その歪みはブルージーなクランチサウンドとBOSSは言ってますがジャギジャギブーミーで優秀とは言い難い。でも人気があるので不思議です。本当にいい音?どのトランジスタアンプのフルテン?
BD-2Wはどうなってるか知りませんがもうちょっとまともな歪みにしたら名機なのになと。
  • 音の通る全体がトーンコントロール回路です。
  • 2つアンプで増幅できます。初段高域、後段中域。
  • 増幅し過ぎるとクランチ音がします。
以上。
 
この歪みエフェクターを改造されるビルダーが多く存在しますが、どれも音質改善ばかりで歪みを考えている改造が見当たりません。いっぱいコンデンサーは変えてるようですけど満足されてます?
爆田研は回路追加しちゃうんですけど、これについて改造の方向性を書き留めておきます。
BD-2はDCコネクターが縦長の旧タイプを使います。

まず回路図を印刷しよう。

もしくはこちらが解析内容ももあって解りやすいでしょう。
 
では解説していきます。

電源部

下部分。
8Vを作りバーチャルグラウンドとして4Vを作ります。もちろんFETやTrの為に電圧差が必要だからなんですけど。そこを知りたければFETtトランジスターの動作を学びましょう。
もし出力が0Vや8Vに波形が届いてしまったらどうなるでしょう?答えはクランチ音になります。アンプは電源を超えて増幅出来ません。トランスはそれが出来ますがアンプではありません。真空管の時代は重宝されましたけどね。

必要充分な回路ではあるので改造する必要はほぼありません。

 

エフェクトON/OFF部

右下部分。
ここはBOSSが標準的に使う回路なのでトゥルーバイパスに改造しない限り必要充分な回路です。入口と出口にミュート回路があり、そこは音は通りますがモーメンタリースイッチ回路は音は通りません。
10μF/16Vを高級化する改造が多々見られます。タンタリウム(日本ではタンタルと呼ぶ)、SILMIC,FineGold、固体、フィルム積層と好きなだけ高級化できますが、忠告しておきます。値を1つでも変えると誤動作しますよ。部品交換はお勧めしません。
 

バッファー部

上部分。
C14,R15,Q3,R19
C13,R16,Q5,R12
C6,R7,Q1,R2
4VはFET(2SK184GR)のゲートに必要な電圧差なので別のFETへの置換は難しいでしょう。音も変わりませんし。
トランジスターは4Vも要らないのですが必要充分で問題がありません。

初段負帰還アンプ兼トーンコントロール高域+43db

C18,R23
Q10用4V持ち上げ
この4Vの持ち上げがアンプで必要であるのと、アンプはの増幅部分は4Vの世界ではありません。このへんは徐々に説明します。
Q10,Q11
Q10のゲートに電圧がかかると電気が流れQ11にそのコピーが現れる魔法の回路。ただし両方とも同じ条件ではないのでその差が増幅、あるいは減衰となり、アンプが構成されています。アンプと呼べるのはC18からR32までです。
R31,C22,R29,VR1
R29,VR1で帰還抵抗22K~272Kで変動。R31,C22は初期状態なのでこれでバランスが取れている。
C21,C23
発信防止。47pFでなければいけないかというとそうでもないハズ。一般的には47~220pF近辺。この値は開発現場でのベストチョイスであり値を変更すると結果が悪くなる可能性がある。経験上アンプのセラミックコンデンサーを高級部品に変えるとキンキンしなくなる効果がある。
 
ここで何倍増幅するかでクランチ音となる可能性がありますが次のトーンコントロールで減衰してしまうので初段は大人しめで後段で主にクランチ音が出来ているようです。初段と後段の増幅率がVR1によって同時に増減します。
 
ヘッドルームが広い状態で動いています。(ヘッドルームがわからない時はアンプの動作電圧の大きさかな?よくミキサーでヘッドルームが広いだの狭いだのと議論されます)

トーンコントロール部固定800Hz以上-16db

C26,R38,R37,C34,C35,R50,R51
C26以外は改造の必要が無い。

電圧制限部(クリッパー?)

1SS133のVf値は1.2Vで2つで2.4Vでクリッピングする回路です。さて、グランドに繋がっているということは4V基準ではなく0V基準ということです。はい、何かもやもやしますね。それはR32の上やD7の上の波形を見ればわかります。
Q11からD10まで4Vに支配されないマイナス電圧も使えるヘッドルームが広い世界なのです。
じゃあクリップしないの?答えは初段アンプが上げてくれば多少クリップします。ここが一般的な歪みエフェクターのセオリーと違います。ラスボスは次に控えています。
 

後段負帰還アンプ兼トーンコントロール中域+42db

 
C27,R35
Q14用4V持ち上げ
±2.4V+4VならQ14の動作に問題ありません。
R27
R27はR29より大きいです。一段下げると1メモリ歪まなくなるが、ここでバランス変えるよりクリッパーの方が最優先。
R34,C24
ここを変えるとBD-2のゲインコントロールがオリジナルとかけ離れます。 あまり変えたくない所です。
C20,C25
100pFは妥当です。

増幅結果が8Vに収めきれない状況でクリップが発生します。つまりここに±3.5V程度のクリッパーをデザインする。
 

以降の回路

 
説明いります?4558は歪みとは関係ありませんのでビンテージ品付けても意味がない。Q1まで4Vの世界。
 

爆田研の改造内容

  • 配線をBellden#8503ではなくCANAREに交換
  • 音に関わるセラミックコンデンサーをフィルム系コンデンサーに交換
  • D7,D8,D9,D10部品見直し
  • クリッパー回路追加
  • R4,R5を高精度同値品に交換(そこかい!)
  • TP3からR18,C14,Q3までレジスト剥がして千住金属ビンテージ半田を盛る。
  • Q1,C1,R1,TP5までレジスト剥がして千住金属ビンテージ半田を盛る。

1000時間以上使っていれば10μFを交換。C3~C5,C11を交換(改造ではなくメンテナンスですね)
 
ぃゃぁインターネットに出回ってるMODと明らかに違いが出て興味深いですね。
既存の改造は高級コンデンサー部品を使ったトーンコントロールにあまり変わらないクランチですが、こちらはトーンコントロールはほぼノータッチでクランチ音改造がメインです。

電源可変に設計しなおしてもいんですが収まらないと駄目でしょうから諦めます。
これで思い通りなクランチサウンドが得られました。
フェンダーのフルテンからマーシャルのフルテンとも違いますしメサブギーのデュアルレクチファイヤーに寄ったか?(私がMETAL寄り?)
 
んー!弾いてたのしければ全て良し!

クリッパー回路について

C23とC25部分に仕込みます。
ドライブを上げ過ぎるとドライブを裏で下げる処理です。
クランチしますが過度なクランチは抑止します。クランチ付きAGC,COMP/LIMITERとも言えます。
8Vppがクランチ音ですので6.5~7Vpp目標に設計します。
+方向とー方向それぞれ3.35~3.5Vですね。
この電圧に合わせてダイオードを直列に複数個当て嵌めます。
基準はダイオードのVf値です。(10mA流れるのは何Vかを調べた値)
シリコンダイオードの電気特性はVf値まで微量の電気しか流れず、Vf値以降大量に順方向だけ流れる特性があります。
ゲルマニウムはVf値が低く、Vf値以降は緩やかに流れます。
 
 
TYPEVf
LED WHITE3.1V
LED BLUE3.4V
LED RED2.1V
ZENER 2V1.88V
GERMA0.3V
1N40011.1V
1SS1331.2V
 
白か青LEDにゲルマニウムが妥当でしょう。
LEDのVfのペアとゲルマニウムのペアを使います。
そしてペアの部品を使うならR4.R5のペアも必要になるのです。
正確な電圧の中間点から歪みの対称性を合わせて個体差を減らすのが狙いです。

話は脱線して使用するダイオードについて

アナログシンセの世界では正確な対象波形を得る為に対となるダイオードのVf値をぴったり合わせた部品を使います。
ゲルマニウムダイオードは暴れ過ぎてペア作るの難しいですよ。
日本のメーカーでロットが合えばまとまってペアが出来ますけど2000個買って同じ値が無い物もあります。
そういう選別をしなくて大量生産する製品は安いのです。
ステレオ27バンドEQの左右の周波数がコンデンサーや抵抗の誤差で狂ってたらそれはプロ用ではないですよね。
誤差の無い部品やペアが必要な回路の部品の選別はプロ向けには必須なのです。
高級部品は高精度部品に近いですが2つマッチしてるかといえばマッチしていません。
とにかく計測しないとわからんのです。
回路図からどこが要所か判断するには経験しかないですが個体差の無い正確な製品はこういう努力から生まれています。
アナログのギターエフェクターって個体差あるよねー・・・・・・

課題

結構良い出来で、シンセにも使えます。
シングルコイルは低音少ないかな・・・そこはエフェクターのせいではないと思う。
C100の0.018μFを0.047μFとスイッチ切替えか?
 
自分だけで評価しても仕方ないので比較演奏頼もうかな・・・。

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