ジャイレーター回路を使いたい!
ジャイレーター回路は疑似インダクターです。AIに訊くと電子工学の専門家と話す時や論文ではジラータと言えば通じるそうです。
ベリンガーはバーリンジャーって言うのと似たようなもんです。
発音はともかく技術的な話をしましょう。
トランジスターならこんな回路です。オペアンプの負帰還に2つコイルがくっついてグランドに落ちています。
https://electricdruid.net/boss-mt-2-metal-zone-pedal-analysis/
私はオペアンプのジャイレーター回路を究極のオペアンプの変態回路と思っております。
私はオペアンプのジャイレーター回路を究極のオペアンプの変態回路と思っております。
そもそもこのページを見つけるような人はかなりユニークなので初心者向きではありません。
この回路を理解するにはとてつもなくオペアンプの基礎が身についていないと混乱します。
でもこんなものか?トランジスターのジャイレーターのほうが応用効きそうでよくね?という人もいるでしょう。
今回はおなかいっぱい用語が出て来ますので表面だけ軽く学んでいきましょう。
れっつらごー!
ジャイレーターを一生懸命考えた人たちの紹介。
741が流行る以前の1960年代に2人の研究者によってオペアンプでコイルを作ってしまうという電子回路理論を確立しました。Michael A. R. RiordanとAndreas Antoniouです。
今見てもオペアンプはとんでもないデバイスなので難しい事を真空管やトランジスターではなくオペアンプの次元で計算出来る(計算ですよ)と考えたのでしょう。計算さえできればオペアンプで結果が出せるのです。この2人が発表しなければ誰も気付かずに過ごしていたでしょう。
アントニオ氏はDSP処理分野のエキスパートです。計算大好きね。
GICを用いた疑似インダクタンス
GICとは、Generalized Immittance Converter(一般化イミッタンス変換器)の事で、簡単に言うと「電流を電圧に、電圧を電流に変換する」となります。わかりやすいでしょ。
ただしオペアンプだけではこれは出来なくて一方にキャパシタ(コンデンサ)を繋げる事が条件です。
インダクターは交流・直流にそれぞれ変な振舞いをします。抵抗だとそれを抑え込むくらいですかね。
波形を観たことのある人なら分かるんですが、まさにバネの様に電圧、電流がボヨンボヨン暴れる(整列する)のです。
トランジスタ技術SPECIAL No.37 実用電子回路設計マニュアル p.42から引用します。
はい、Z1~Z4で負帰還抵抗とバイアスが左右で交じり合う不思議な回路でZ5でグランドに落ちます。I'は完全にグランドです。Zが抵抗であるとは書いていません。こんな回路よく思いつきましたね。
Z2がCですね。さぁなんでZ3がRなんでしょう?何が起こりますか?頭を直流から交流に切替えないと解決出来そうにありません。つまり交流が来た時オペアンプの入力に差を作ってボヨンボヨンをシミュレーションしているのです。
これなら少しわかるかとおもいましたがこれでQの高いLCタンクです。今度はC1とR4にトリックがあります。つまり負帰還Z2,Z3にあたるのですがその入力周りが抵抗やコンデンサーとなった場合に交流を通したり通さなかったりする魔法を仕掛けるとコイルと同じ動作になるという形と、C5によってLC直列状態になるという形に見えて来ました。(いや、見える人はそこそこの技術者なのかもしれません)
なんとも凄い部品が付いていますが帽子サイズの巨大オペアンプでもなければ無理なような回路ですね。
こちらは頭が混乱しますね。減算回路にも見えます。また頭が直流になってしまいました。R2がマイナス側にないのでオペアンプの入力は+は分圧されているのとマイナス側でCの影響で電圧がボヨンボヨンと?いやR3でグランドに吸い込まれて消える?
こちらはマイナス側にCが無く同じ入力に見えますが脈流が下のCで受け止められるような気がしますし、オペアンプ版キャパシタンスマルチプライヤーも似た形だったような・・・。
とりあえず図28で遊んでみましょう。
リンクはこちら
低いSAW波形がKorg DW-8000やCASIO CZ-1のようになってますね。ボヨンボヨンという表現がわかっていただけるかと思います。コイルってこんな風にボヨンボヨンなんですよ。
これらの回路を使い、仮にRを可変すればL全体が可変します。物理的なLは巻き線からタップとして端子を出して可変(固定だよね)するかコイルの特性を変えるべく鉄心やフェライトを入れて抜き差しするしか可変出来ません。そもそもサイズが大きいので使いづらいのでこの発明は凄い事なのです。
コイルなんて使わない?それはあり得ません。名機の中にはこっそり使われていたりします。
https://sound-au.com/articles/gyrator-filters.htm
には多くの説明がありますのでこの回路を抜粋しますね。9 - 実例の回路図です。
パラメトリックイコライザーの回路ですがこの形何十chもある某高級アナログミキサーで観たことあります。ジャイレーターだったんですね。どうりで効きがいい訳だ。
7.1 - Transistor Gyrator
にはトランジスタ用にバイアスが正しければオペアンプじゃなくてもいいの?みたいな可能性があります。
7.2 - Valve (Vacuum Tube) And JFET 'Gyrators'
には逆にうまくいかないとか訳が分からない。
いかん、あまりの難解さに皆さんついてこれないぞ。
そろそろまとめます。
ジャイレーターはコイルの性質をエミュレートしたものでインピーダンス変換器の技術の総称。
LCフィルター関係はその一部分でありFDNRと呼ばれているらしい。でもジャイレーターと言ってしまう。
大きな部品は使いたくないのでオーディオ用途にこっそり使われている。
回路が変わっている。(一般的な増幅器の体をなしていない)
利点
- 小型化に貢献。
- 可変。
- 低予算。
- あらゆるサイズのLが設計できる。
- RCでは得られないキレのいいフィルターがOTA無しで作れる。
- LCの組み合わせなので発信も出来る。
- L自体が精度が低いのにこれは超高精度に作れる。
- 場合によってはトランジスターでも作れる。
- 低い周波数の扱いが最高。
欠点
- 周波数が低い分にはオペアンプの性能がついてこれるが本物と違ってスピード限界がすぐ来る。(結果歪む)
- 電圧が低い分にはオペアンプの性能がついてこれるが本物と違って電圧限界がすぐ来る。(結果歪む)
- 電流が低い分にはオペアンプの性能がついてこれるが本物と違って電流限界がすぐ来る。(小電流のみ)
- トランジスターにしてもトランジスターの速度限界は超えられないので以下同文。
- トランスは無理。ガルバニック絶縁しない。1次2次を並べて移送反転やインピーダンス変換されて出力が得られるるわけではない。
- 熱雑音が多いらしい。そんなこと言われても世の中には熱雑音は抵抗だけでも発生してますし…
- 簡単に計算でRとCの値を計算してくれるサイトが無い。(だれか作ってよ)
トランスの代替のアプローチは他にあるので別の機会に紹介しますかね。
ほだばっ








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