Wave Fold Effectを作ってみた。(基礎編)

Wave FoldのFoldは「折る」を意味する。


左がWave Fold出力、右が入力。閾値6.127Vでまだ1次倍音が半分以上を占めています。


Wave Foldは閾値から上の波形を折りたたむことにより倍音を加えるWave Shaperです。
サチュレーションしたりクリッピングしたりしないので原音がほぼ残った状態なので、1段の処理ではPWM位の変化しかありません。
実際に見て聴いてみましょう。
これはダブステップのサブベースといいますかガラージやグライムに使うに充分な低音です。
もしこの回路を手に入れたら普通のアナログシンセがSerumに近づくことになります。
実にKoolだ。
 
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前述の動作を高精度なオペアンプで具現化しました。
もっと省略できる部分はあるかと思いますが基本はこれです。
閾値が変化したらバイアスも追従しないとFold出来ませんよ。


世に発表されている
Wave Folderなる物は正しく動くように見えない(?)ので学習する意味でこの記事を書いています。
 
閾値=VBE値の0.7V固定・・・

 
 
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はい。見事にFoldしてますね。でも何処を変えても頂点を閾値に移動出来ません。順方向電圧という避けられない性能から0.3V以下の出力波形が酷いです。0.8V以上は出力が大きすぎて使えません。総じて演算している感が無いのです。
これを最初に実験してしまったので、考案者に敬意をこめて高精度にコントローラブルに設計してみたのです。
珍しく経緯を後半に説明しました。 
そもそもトランジスターのVBEのスイッチが入った途端に増幅が始まりますので、1Vではニトロでも点火したかの如くえらい出力です。
出来るなら全く増幅しない回路で折り返せたらそれが正解でしょう。
このままではトランジスターTYPEのFold回路に批判が出そうなので少しニトロを外してみました。
 

 
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仮にダイオードを足して閾値を上げても増幅の傾きは変わらないので悩みます。
順方向電圧を回避したので波形はかなりましになりましたが入力にリミッターが必要です。
そしてパワーバンドが狭すぎます。
ローギアしかない車はこんな感じでしょう。 (車の専門用語で語っています)

Wave Fold回路の欠点

Foldしているが故に出力電圧が下がります。設計者は閾値がわかっているのでその分増幅してあげたい所ですがVCA入れるのもコスト高なのでこれが欠点です。
おそらく多段にFoldするでしょうから最終段の閾値からの増幅で問題ありません。

Foldがシンセサイザー向け(私の回路のように理想的なもの)かギターエフェクター向けか一般人にはわからない。
 

実験

実験の目的:基本回路が出来たので直列に繋げてスペクトラムを観て、どう仕上げるべきか考察する。
まずは入力波形はサイン波です。
折れていません。
WaveFoldをほぼ同量折り返すように設定しました。
半分に折れています。
同じ回路を直列に接続しました。
さらに半分に折れています。小さくなるのは正確な抵抗が無いからその誤差です。
さて、100Hzにしてスペクトラムを観てみます。
2次倍音を期待していたのですが全くありません。
なんと3,5,7,10,13,15倍です。なぜなんだぜ。
AIに尋ねてみましょう。

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ご指摘の「10倍音」「13倍音」「15倍音」は、厳密には奇数次ではありません。ここが音響の面白いところです。

非線形性による混合:

楽器の発音はリードの振動やエアーの渦(エッジトーン)など、強い非線形現象から始まります。この非線形過程で、基本となる奇数倍音(1, 3, 5, 7...)同士が「混合」し、新たな周波数成分(差音や和音)が生まれます。

具体例:
  • 10倍音: 3倍音 + 7倍音 = 10倍音(の和音)が発生するなど。
  • 13倍音: 3倍音 + 5倍音 + 5倍音 = 13倍音 など。
  • 15倍音: 3倍音 × 5 = 15倍音(元々強い高次奇数倍音)。
つまり、基本となる強い奇数倍音が非線形的に組み合わさることで、結果的に「10倍音」や「13倍音」といった成分も目立って現れてくるのです。これが、サックスなどの楽器の複雑で豊かな音色(TIMBRE)を構成しています。

まとめ
wave Folder回路で3, 5, 7, 10, 13, 15倍音といった倍音が多く発生する理由は、
  1. 根本的な理由: 回路がモデルとしている円錐管が、振動的に閉管と同じ特性(奇数倍音優位)を持つため。
  2. 詳細な理由: 発音機構の非線形性により、基本の奇数倍音同士が混合し、10倍音や13倍音などのより高次で複雑な倍音成分も生成されるため。
このように、wave Folder回路は単純な波形を折り畳む(Fold)だけでなく、物理的に正しい管楽器の倍音構造を再現するように設計されていることがわかります。
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なんと!正確に作ると円錐管楽器になっちゃうらしいです。
せやったんかー(C)こおくん

最後に 

歪まずに高精度にWave Foldする=円錐管楽器の物理シミュレート でした。
波形の頂点部分が折り返す回路をご自分で作ってみて下さい。アナログスイッチを使わず模索していると意外に奇抜なSuperSawの様な合成や端だけギザギザな波形も得られます。
ハードもソフトも正解は1つではありません。間にコンピューターを入れてもいいのです。
でも世に出回っているこのようなトランジスターでやるのはお勧めしませんね。
誰も管楽器になるなんて書いていないじゃないですか。すこし騙された感じがします。

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